No.603

生きる
ことなんて容易くて
傷つけあうほど平和だった
あの頃いのちは
ATMで下ろせたし
足りなくなったら補充ができた
嘘は自販機で買うことができて
優しさはコンビニにあった
隠したいものは靴下に詰めて
許せる人にだけ裸足を見せた
残酷だ
そう言って決別した
つもりだった
時代が僕らを捕まえに来る
大晦日
雪の後先
死にたいだなんて
傲慢だったよ
各地で魂が卵になってく
もう一度シャッフルだ
君と僕とは最初で最後のさよならだ。