No.595

今日も三日月を製造する
肯定が足りない人のために
あのとき幸せだったのかな
そう振り返ってしまう人のために

砂糖と思い出をひとつまみ
太陽の光とそれにネオン
目覚めたくない子どもの寝言
再利用できない呪文

ぽんと音を立て三日月が生まれる
一晩にたったひとつだけ
たまたま今日はあなたの番でした
そう聞いて少し笑う

明日はまた別の誰かのため
だけど悲しくないはずだ
僕といるので
あなたに型抜き役を命じよう

落ちぶれた世界
飛び降りた人は羽根になる
鼻歌は風にのって今や海の上
もう二度と来ない夜がこんこんと更けていく