No.586

安全な距離を保とうと努力して
互いの平温を忘れる
熱が上がっても気づけなくて
他の人にとられてしまう

ありがとうって
この部屋だけで呟いた
壁に染み込ませて踵を返す
何をしたって新しい住人は真っさらだ

終わりを迎えに行くふり
一歩ずつ踏み出した
向かい風が支えてくれる
前のめりに逃亡する僕を

意味がないの
みんな気づいてる
埋めたくて言葉を吐いて
ぺたんこのぼろぼろになって

だから大きく息を吸えるんだ
吐き出して空っぽだから
まったく新しくはなくても
そう見える人に拾われるだろう

繰り返されるどうでもいい奇跡を
くだらないと笑える日々を
被害者ぶるかさぶたにキスを
明日にはもう逆転する夢であっても

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