No.577

ぐわんと鳴った
頭の中が
あるいは視界が
簡単に倒れた

人はかんたん
かんたんに、つくられる
かんたんに、こわされる
生き死には非常にかんたん

神さまを信じる人が怖かった
なにを言っているんだろう
なにを見ているんだろう
いないのに、そんなもの、いないのに。

好きを殺すのはべつの好き
あなたが思いを遂げたために
あの子はひとりで泣いたんだ
ないよ、美しくない、わけがないよ

叫びも衰えくぐもっていく
まともでいたいと思ったがために
あなたは気づいてはいけなかったのに
備えてはいけないものを手に入れたんだ

白いつま先がぼくの前で止まる

だいじょうぶ、
きみもいつかわたしたちみたいになれるよ。

きれいな表情で教えてくれる
ああ、出会った、また、信仰、だ。
それを優しさだと感じてしまった
もう生きる理由はないって確定する。