No.542

ジュースに溺れそうになる
飲みたくて口をつけたはずなのに
正しさはいつも他人を傷つけて
逃れるために自分を傷つけさせた

遠い、近い、は問題じゃない
会えるか、会えないか、だ
あなたは会えない人だ
だけどそれを含めて会いたいんだ

会えないあなただから会いたいあなただ
もしも会いたい時にすぐ会える相手なら
こんなにも会いたいとは思わなかったろう
それに名前をつけたくはないけれど

夢の中であなたがぼくに向けて手を振る
そのまた夢の中ではぼくがあなたに?
踏みにじった檸檬の果肉が欺瞞を溶かす
終わりを望んでも与えられることはない

いつだって過程のぼくたち
いつだって誰もが道の途中
いつだって今いるここが絶頂
安易な逃げ道は手探りでもわかる

小指を一本だけ切り落として
流れ出す血を見ている
これが赤、あれが赤、終わらない赤
ぼくの中から呪いの色が消えていく

もう弁解をしなくていいの
ちいさな握りこぶし大の暗闇に戻る
ぼくもあなたも命なんかでなかった頃の
ぼくとあなたが兄弟ですらなかったあの頃の