現実よりも鮮やかで
まぶたを閉じていられない
空は初恋相手の髪色みたく
どんな虚像も浮かび上がらせる
それは真夜中のスクリーンだ
ねえ、
あなた引き算をしていたの
ねえ、
ぼくは足し算をしていたの
ちょうどいいと思った、誰だって
だけど加減の問題なんだ
行き過ぎて、すれ違って
分かり合えたと思ったら
また遠ざかって、忘れられなくて
やり切れなくて、利口になれない
たまにでもいい、
自分を甘やかすその声が。
たまになら、いい、
何も変わらないことを望んだ。
たまにしか起こらない奇跡なら?
夢なら続いてよ
終わらない現実なら醒めてよ
ぼくたちは不完全で
言い訳も準備できていなかった
ぼろぼろだ、流れ星になれないまま
『不眠症』