No.523

目隠しをするのは
嘘を隠したいからだって
あなたは言うけど
そう思ってくれているうちは
ときどきなら笑える

見えなくなるとね
光のうつろいを気にしなくて済む
そのぶん耳がよく働くんだ
それで嘘がわかっちゃうんだ
あなたたまに嘘を吐くね

ぼくを安心させたいがための。
ふたりなら足手まといだ、
この先は自分だけが進むところだ。
そんなふうに吐く嘘を、
あなたがぼくに教えたんだ。

『嘘吐きの詩』