No.517

新しいハイヒールが並んで
おまえの心を奪っていく
もう耐えられないんだ
横取りされることは

だけどまともに訴えたら
困るだろう?
困らせたくない
煩わしいものは嫌いだろう?

おとなは誰だってそうだ
こどものぼくだってそうだ
天邪鬼であっても言う
おねがいだ自由でいさせてくれよって

卵焼きのにおい
悪夢の終わり
たぶん砂糖を入れすぎた
手に取るようにわかるんだから

おとなの割におまえは優しい
ぼくが弱っているうちは
おまえは悪くないよ
そう言いたいがためのエゴなんだろう

夢を見過ぎだ
おとなになったら
今に忘れるんだ
ただの気の迷いさ

見え透いている
諦めさせたいんだ
できないのに
できるならとっくにしてるのに

明日は生まれ変わる
世界のホコリみたいな子猫
毛色も瞳も何もかも灰色
気づいた時にはもう手遅れ