No.511

見えなくてもいるよ
ちゃんと広がってあるよ
雲を払えば宝石箱があるのかな
でもほんと言うと知りたくなかった
知っていても見ることができないなら

あなたはぼくの願いごとをそろえてくる
あれもいいよね、これもいいよね
ぼくが手に入れられないものばかり
どうしてちゃんと言ってくれないんだろ
あなたごと手に入れるしかぼくには方法がない

あこがれは涙に姿を変える
誰にも気づいてもらえなくて
あなたは言うんだ、涙って、
世界でいちばん簡単に作り出せる海だよね
誰もが誰かに何かを伝えたい世界で

おでこをくっつけ暗示をかけあう
ぼくは、ぼくたちは幸せでした
この時代で、この世界で、この二人で、この今で
明日目覚めたら最初まで巻き戻す
物語は始まらなかった、だから終わらなかったと

花の棘で指先を突いてささやかな証とする
三日月はそれ以上にも以下にもならなかったと
潮は引いたきり満ちることはなかったと
だから行きたい街へ行くことができて不自由なかった
他愛もない約束を守り続けるくらい、不自由なかった