死に抗い、溺れることを否定した。あなたは言う。ぼくを何よりも大切だと。そしてもうこれ以上はどんな血も流させまいとする。どんな闇にも浸らせまいとする。人が羨む特性のために一番にはなれない。どうしてこんなところに生まれたのだろう。どうしてこんな星のもとに。ぼくは誰より近くであなたを見守ることができるし、見守られることもできるだろう。ただそれはあくまで慕情であって起伏を期待できるものではない。再び巻き戻して夢を見たりしてはいけない。輪の外からこちらの様子をうかがう敵手もそろそろ気づくことだろう。ぼくにはどうすることもできないってことを。手っ取り早く傷つけるか壊すかすればまだマシなんだろうか。比較対象は平穏無事。天災を待ってるなんて口には出せない。あなたはぼくに追いつかせまいとして加減をしない。それでいて歩幅を合わせているよう錯覚させる。もしも決まりごとが反対したとしても、本音を言ってくれないか。どれだけ懇願してもあなたは口を割らない。おまえが大事だよ。いちばんに大事だよと繰り返すだけで。王冠などいらない。栄光も、信頼も、輝く未来も欲しくない。永遠なんて拷問だ。あなたを想ってひとりで泣くしかない夜が欲しい。声が届いたらいつでも駆けつけて欲しい。神聖はとても疲れる。悪人にして欲しい。全部をいっぺん捨ててみようかと、冗談でもいい、ぼくがあなたの弟でなかった世界を垣間見せてくれ。