no.461

飛び散った色彩を集めていく
無謀だと笑われるほど信じていく
図書室で借りた本と違って
血は錆びついてなんかいなかった

きみが救われない世界が好きだ
怒った顔や泣いた顔で
きみが生きているんだと分かるから
何が欲しくて何が幸せか分かるから

わかるから、
夏日が収斂されていく夜が
どうしてあんなに深いのか
崩壊する決まりごとの下で

傘もささない頬に手に
尖った活字が降り注ぐ
損傷を与えるほどでなくても
次の安眠を妨げるくらいには棘がある

何かを好きになることは自傷だと
きみの手探りが呪いをかける
ほどけないことじゃない
ほどけるのにほどかないことを自覚させて

奇跡だと言われて腑に落ちないよ
だからたまに手放して観察する
もう一度出会ったら何と言うだろう
はじめましてと言えるだろうか

かき集めた時には変色していて
記憶のふたりが邪魔をした
これまでとここからは違うんだ
知っているぼくらだけで始めるということ