no.460

手をつなぐのは誰
いつまで経ってもさびしがりは?
つまづく小石は取り払われても
どこへも誰も行かせまいとする

世界はときどき
ぼくの存在を忘れる
血は古い友人なので
きみを眠らせることができる

ぼくが間違ったふりをして手を出すと
いつでも連れて行けると脅しにかかる

肌を寄せても人形の恋
セラミックの迷宮で体温を探る
清流は甘い粘度を持ち始めて
ぼくを過去に縛りつけようとする

いちばん最初にみつけた恋
それがもっとも良かったでしょうと
泣くこともない瞳で訴えてくる

前向きという暴力で
希望という殺傷で

生きるために生きるのではない、
愛を知るためにここへ来たのだ、
穏やかな声もむなしく遠ざかる
それは悲鳴と大差がない

やさしい雪に埋めようか
うまれ変われる春が来るなら
これは変わらぬ異形の恋
きみのからだは朝の味がする