no.421

きみの目からぼくの涙がこぼれたらいいのに。ぼくの傷からきみの血が流れたらいいのに。だけどどこまでもふたりでいたい。朝と夜のように。密度の高い別離のまま羨まれたい。悲劇もまるく飲み込んで、あまいな、ってたまに笑い合いたい。流れていく時間の中できみが変わって、少しずつこの世界にいられなくなっても。一度だけかすめた指先のことを、何度でも奇跡だと呼ぶんだ。乾いた土地で、濡れたように光る石を見つけた。それが何という名前だとしても、鼓動のきこえるポケットで、ぼくがいつまでも離さないね。