no.408

秘密を明かさなければいつまでも透明でいられる。だけどそれは濁る幸福からの意図的な逃避だよ。わかってる。形を持ちたいと、きみは、そう考えることはない?わかってる、わかってるんだ。あなたの言いたいことは。何故ってあなたは答えを知っているんでしょう。綺麗でない水も夜になれば外の光を反射してネオンのように輝くくらいできる。知らないわけがない。選ばなかった、だけのこと。そういう言い訳に騙されるくらいの余裕は欲しかったな。あなたは少し僕を買いかぶっているんだと思う。楽しいと笑わないのも、悲しいと訴えないのも、強さのせいだけじゃないよ。自由と引き換えに愛があるのならもっと話は簡単だったね。手を伸ばすところを見られたくない。あなたに気づいて欲しくない。そうすれば僕はたちまち臆病になってあなたを不安にさせてしまうだろう。輝かないでと願われたい。誰からも嫌われていてと思われたい。ねじれているんだとしてもこれが僕の初恋。夢の中でなら何度でも切り裂くのに。守りたいと思わなければ世界の不確定性への恐怖なんか取るに足らないのに。交わすためだけのやわらかな言葉を交わしあって生きるのに。