no.370

憧れはいつか鎧を着て
好きを戦わせなくちゃいけない
輪郭のドレープが優しくて
守られることの終わりを見た

くらべるものではない
ラベルを貼られるものではない
そうは分かっていても
物語は勝手に始まりぼくは演者となる

魔法使いが言う
ままならないことを望んだだろうって
そんなわけないじゃないか
だけど理由が思い浮かばないんだ

暗号を解読したくなかったからなのか
うなじに手を伸ばしたくなかったのは
疑い出せば信じ抜くようになる
何者でもない地点からまだ動き出せない

寄り添うような恋をしたかったけど
たちまち愛と勘違いされる
あいまいな境界すくえない少数派
火を起こすには摩擦の程度が足りてないんだよ

実物を知らない描写が無邪気に君を蹂躙する
どこかで思ってるんだ、くじけてしまえって
ぼくのやっていることは真犯人より
ずるくてみにくくひどいことかもしれない

ぼくの憎んだあのひとが
悪役でしか生き残れなかったように
ぼくもまた配役を選び取る
正しいと間違いは表裏一体

まばたきしているすきにコイントス
偶然が世界を操作する
切り離されて繋がりたいと思った
確認を繰り返して純情はぼろぼろだ

やさしい嘘を口ずさもう
誤変換の果てでどこへたどり着くんだろう
次に生まれ変わったらなんて考えないや
信じることは怠惰だって知らないわけじゃなかった