明方に夢想する
これは誰かの夢じゃないかって
光を孕んだ
闇は静かに駆逐される
目に届くだけじゃない
あたためるために
太陽が昇って
なけなしの寂しさを拭う
遠いどこかで
あなたも見ているといい
分け隔てないこの空を
そして不自由に気づくといい
僕たちに与えられた程度に
真相は雲のように形を変えて
それぞれの感情も留まらないって
変わらないことを誠意と呼ばないで
僕が手放したもの
あなたが手放したくなかったもの
それだけで十分
本当はそれだけで十分なことなんだ
隠し事は川底から引き上げられる
かつて命だったものの形をして
大人になるなんてずっと先のことだった
僕たちは見つけて覗き込んだ
単なる死骸がどうしてあんなに
周りの風景を掠めるくらい
呼吸を忘れるくらい鮮やかだったろう?
かつて生きていたからだとは気づけない
夕日を照り返す五臓六腑
僕たちは言葉を分けた
通じるのに通じない
それよりは幾許かマシだろうと
日に縫い目などないように
変わりゆく僕たちにも嘘偽りがない
それほど高度になることはない
いつまで経っても覚束ない
死者ばかり美しいか
そんなわけはない
どちらからともなく始めた遊戯
生きている者にも手向けの花を
運命のように出会ったこと
忘れても染み付いている
こみ上げる涙は取っておく
百年後に来る再会のために