No.836

冷たいのね
言われて疑問が生じる
ひとって温度なんだろうか
触れてもいないのにあなた分かるのか

境界線は消えたよ
消えたと思う
消えたと思いたいひとが増えたと思う
秘密の部屋を覗くのはもうおしまい

秘密が秘密でなくなったから
欲しいものがなくなったから
正体がなんであれぼくは
誰にも知られない領域が欲しかった

草だらけの空き地も所有者がいて
自由奔放だったあなたにも首輪が見える
忌避したくなったんだ
そのことを伝えたら冷たいと言われる

あのね、ぼく本当に楽しかったです
ながい夏休みの入り口みたいにそうでした
終わりがわかって永遠に飛び込むような
意味不明に飛び込んだあなた輝いて見えた

これから百年おなじことを詩に書くだろう
ずっとそうしてきた
あなたは知らないんだ
ぼくは最初から赤の他人と同じように冷たいんだ