No.808

きみに好きだと告げたとき
光景を見下ろしている感じがした
菜の花畑を縫って走る赤い電車
膨れた挙句の桜の嵐とちぎれた白い雲

美味しそう、
思わずつぶやいて笑われた
神様がいるとしたら
そんな人であって欲しい

(きっと世界は変わるのに)

ぼくたちは暮らした
百年ずっと一緒だったように
ぼくたちは交わした
百年ずっと待ち焦がれたように

辞書で白夜を引きながら
眠りに落ちた夜
おなじ夢を見たんだ
運命の人とはみんなそう

菜の花畑を抜けてった
赤い電車の終着駅をどちらも知らない
いつか歩いて行こうね
幸せって気づくものなんだね

視界に映るあるものがあって
川が流れて光を反射する
乱れた粒子を映す横顔に
無数の感情が浮かんでは消え

ぼくを、好きである。
というひとつに収斂する
そのさまを見たよ
青い春の中で幸せがふたりを護る