欲しいもの
禁じられている
蒸留されて
宝石になるために
きみは手を伸ばす
その手で支えるんだ
支えられていると思っていただろう
きみなしで夢はこの世に居られない
目を覚ますたび無色の光が
からだいっぱい満ちてきて
おはようを言ってくる
昨日のことなんか忘れたみたいに
何度も逃げ出したのに
びくともしないで
枕元にある
不安を食い尽くしてかがやく
たまに思い出すんだ
思い出すことを忘れないよう
手のひらに浅く彫ってある
きみもいつかいなくなるって
何も特別なことじゃない
特別は特別に埋もれて日常になる
だからって平然とできるわけじゃない
生まれながらに贅沢なんだ
なのに不思議でたまらない
きみたちはまるでこう生きる
百年後も千年後もここにいるみたいに
何食わぬ顔で他人を傷つけ他人を欺く
きみたちの一生は花の一生だ
無知が癒しであることの認識すらないまま
素直になることを放棄する
それでいて何もかも知ったふうに笑う
喧嘩している間にも
沈黙を保っている間にも
時は刻まれる
残りの明日は減っていくのに
手遅れになんないように
あとで泣いたりしないように
ぼくが今きみを愛そうとして
好きだって言うと急に泣いたりする
やわらかくて弱い者、
ちいさくて賢い生き物、
きみがぼくを慈しむ時
ぼくはきみの集めた幸福にさらされている