失うため生きた
失うことがしたくて
失えるものを手に入れ
約束どおりに失った
朝の海が橙だった頃に
熱中した自傷に似ていた
ぼくたちは持っていない
だから拾いに歩いた
液晶画面から流れ出す
流れ込むそれを
毒だとわかって
受け入れるんだ
解毒作用を確かめたくて
死の淵に立ちたくて
大丈夫か知りたくて
誰かを安堵させたくて
とっくに壊れているよ
やさしい声がささやく
その声を聞きたくて
何度も馬鹿をやっている
発狂の過程だよ
いやに長引くグラデーションだ
振り返れば平気かな
きみはいつから平気になった?
信じたものが形を変える
信じるほうが狂ってるんだよ
それは覆せない事実だ
夜が来るたびに最後を思う
可愛く思えないんだ
傷つかない生命なんて
ぼくがいなくても
生きられるかたまりなんて
(だって、そうだろ?)
口々に呪いをかける
古めかしい儀式は新しい
手のひらだけで割った卵から
青い鉱石が転がり出てくる
ピンを止めるんだ
どこかで時間を
変わらないことを恐れないように
もう誰もしなくなった恋とかを始める