No.519

『エゴイスト』

誰も禁止してはいない
逃げたければ逃げていいんだ
しつこく追ってくる幻から
耐えられない現実から
居ても立っても居られずに逃げ出す、
ということは、
生き延びる意思があるということ。
そうでなくても、死にたくないと
体が頭に訴えるんだ
雑踏、海底、本の中、世界の果て
どこへ行ってもいい
きみが生きられそうな場所なら
どこへ行くにもためらわないことだ
何を捨てても向かうべきだ
だけど覚えておいて
たすけて
きみが一度でも言えば聞き逃さない
ぼくはそのために何が消えてもいいと
まごころから思っていること、
どうか最後まで忘れないで。