No.491

浮遊するクラゲが心臓を、
でも痛くないんだ、ぜんぜん痛く。
あなたは顔をしかめて見せて、
ほら生きているんだって、訴える。

うん、曲がり角にあるだろう?
水銀みたくまんまるした鏡がさ。
あれに夕焼けが映る時に、
平成元年に戻るんだよ、街も空気も。

ぼくはたまに振り返るんだ。
だけど背丈が伸びてしまって、
もう太陽は映らないんだ。
さよなら、だ、スーパースター?

ほんとうは平凡だったあなた、
悪くない、ぼくの夢をほどくのも、
みんなや世界のためじゃなく。
あまった光はここへあつめて。

透明に生きる七色、
模様じみた蝶の標本、
禁じられた常套句、
幻はすべて機械仕掛け。

匿名希望のネオンを消して、
あした壊される遊園地を走ろう。
この手を離さなければ大丈夫、
誰もが羨む新しい朝が追いかけてきても。