no.376

あの街を出た
街の人が誇りに思う
花の色を知らずに
指先で封をして

振り返ってはいけない
それは無効だった呪い
ぼくは忘れなかったよ
忘れられなかったよ

川の中をひらひら流れていく
吹雪のような光景だ
落ちてしまって生きられない
そんな命もあったんだろう

岸辺に寝ていた
いつかの猫のようなひと
顔を覆う葉っぱを取り上げたなら
百年前と同じ目をしてぼくを見るんだから

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