No.504

今度こそ見つけてもらえる
そう考えてる他力本願
期待されるほど透明じゃない
隠すことは得意だけれど

あなたはぼくを密告する
でも言わない
だけど叱らない
残り少ないチョコレートが甘い

傷つけてあげるんだ
そっちのほうが楽だから
傷つけることは苦しいから
汚点になってほしくない

青い卵を両手にやさしく包み込む
ナゾナゾ、ぼくの眼前に差し出す
(うまれてくるもの、なあんだ?)
目線をあげるとあの日の笑顔だ

傷つけた後悔も
傷つけられた痛みも
昇華されず償われず報われもしない
それでもいいさ、それでもいいんだ。

あててあげよう
あててあげたらあなた消える
そうだとしても間違えないであげよう
間違えることにはそろそろ飽きた

1+

【雑記】ロマンと希望

誰にでもあると思うのね。「この人なんでこうしないんだろう?」こうしたら、もっとお金になるのに。もっと人気が出るのに。もっと有名になれるかもしれないのに。こうしたら、こうしたら、こうしたら。

ただたんにそうする方法を知らんだけってこともあるかもしらんが、そうでない場合、その人にはそれしかないんだよね、きっと。指示語多すぎかと。

人って自分で自分の好きになるもの決めたり変更したりできないのね。嫌いになるものは、どうだろ、うん、同じか。人の相性、好き嫌いって、当事者同士には決められんのよ。特技とか、性癖とか、そういうのも。そこになんというかロマンがありますよな!

・なんでこいつのこと好きになっちゃったんだ
・なんであんなやつ嫌いになれないんだ
・おまえなんかよりもっといいやつ見つけて幸せになってやる(でも無理)

みたいな、そういうロマンがね。

たくさんの人が「自分だけは自分の思い通りになる」みたいに思ってるかもしらんが大きな嘘もしくは間違いで、逆なんですな。つまり、自分ほど自分の思い通りにならん生き物はおらんっちゅうことですよ。だってそうでしょ?自分には自分の好きなものと嫌いなものが、感覚として、体感として、分かるんだから。意のままにしようとしてもどうにもならないことがあって、にっちもさっちもいかなくなるでしょ。その点、他人のほうがもっと気楽に操作できるでしょう。他人の意思を無視してもおまえさんの心はちっとも痛まないんだから。な?

でもそういう境界を乗り越えるのもまた良しよなー。

なんで、ぼくは、きみじゃないのに、涙がこぼれるんだろう……

みたいなそういうの、人類の希望だなって思うこともあるんですよ。

結論:他人とかかわるのめんどい。

2+

【雑記】プラスにマイナスほどの力はない

どんなに前向きな言葉で語ってても人を突き動かしてるのはたぶん復讐心とか見返してやりたいって気持ち。それが自分を納得させるために、前向きな言葉にかわったんだろうね。だけど私はマイナスの力ってプラスのそれよりでかいと思ってて、まず、マイナスってプラスになることがあるじゃん?可逆性ないと思うんですよね。プラスがマイナスになることって。まずその点でもうマイナスはプラスより強しでしょ?そして、たぶん、マイナスをどうにかしたいという気持ちのほうが切実で、行動にうつしやすい。

私ふと今までの自分振り返ったら節目節目でマイナスエネルギーがとても働いているのね。そんなに、うががー!って感情になることはないんだけど、「ふう〜ん?」と思った時ってたいてい心の中でジト目になってて、後から「もしかして……いらっとしていたのか?」と他人事のように思う。マイナスはモチベーションの動力源なのでそんな否定することないよと思う。ただそれで人にあたったり、周囲に迷惑かけるのも違うと思う。不機嫌は罪ってタイトルの本がありますが本当にそれで、自分の機嫌は自分でとらないといけない。人にとってもらおうとしない!って、みやぞんが言ってた。みやぞんすごい。最初あんまりおもしろくないなーと思ってたけどすごい人だった。

なので、周囲にあたりたい気持ちとか、他人のせいにしたいずるい気持ちとか、全部ひっくるめて動力源にしたいと思う。見返したいと思ったらそれを動力源にしたいと思う。何かを成し遂げてる人って多くが「人に反対されたからやる」という発想らしいね。天の邪鬼なんでなくて、人が反対するってことは誰もやっていない、やろうとも考えない分野でしょ。ブルーオーシャンを嗅ぎつけるのだろうね。

なので復讐の火は、しずかに自分の心の中で燃やしておくといい。ある日ふっと果たされるんだけど、そのことを自慢げに言うこともしなくていい。訊かれたら答えて良いのかもわからんが。でもたいてい言った本人は覚えてなくて「え?すごいね!」って手放しで感激してくれたりもするんで肩透かし半端ないって。

マイナスのこと、否定しなくていい。自分の中にうまれたマイナスな感情、ネガティブな考え、生まれてきたからには何かわけがあるはずだ。そこにあなたが絶対ゆずれないと思ってる何かがあるはずだ。ポジティブやプラスに力はあっても魅力はない。マイナス面を見つめるんだ。「こんな自分いやだ」って自分で思うところに、自分にしかないものがある。絶対だ。

結論:あなたはあなたのままで生きていくべき。

1+

No.503

許されなかった恋のひとでなし
ぼくようやくわかった気がする
あなた禁じられることに酔ってた
その目はぼくを見ていなかった

供給源を断てない草の根
どうしてあなたを捨てられる
心中には遠い、夢見には妨げられる
走るうちに知らない風景

なるほどこうして時はすぎる
見慣れないあなた、年老いたせいだ
ぼくと再会し驚愕で目を開く
姿が百年前と変わらないので

そのころには虚言癖
誰もあなたを信用しない
悪気はないけど信用はしない
なぜって毎日支離滅裂で

あの子は湖底に沈んでいるんだ
おれの身代わりにそうなったんだ
積もる泥は冷たく重たいに違いない
早くあの子をすくっておくれ

でたらめを言うおじいさん
すっかり呆けてしまってね
昔はそりゃあ溌剌としていた
女の子の取り巻きも多くてね

気づかなかったろう
あなたぼくを見ていなかったから
傷口がすぐにふさがるんだ
これがぼくのささやかな復讐

教訓、恋するすべての人へ
愛をささやくひとから目をそらしてはいけない
その傷口はあまり早く完治する
あなたが他の生物を見ているあいだに

1+

No.502

なぜぼくを起こしたの
せっかく死んでいたのに

とでも言いたげな寝ぼけ眼
もう一度埋めてしまおうかと思う

それは白くつめたくやわらかで
毎晩すこしずつかじりたくなる手

泣かないでフロイライン、
私としたことを覚えているの?

いいえちがうのマドモアゼル、
あなたを何も思い出せないの。

呼び名だって記憶どおりかわからないの、
間違ったら消えてしまうんじゃないか?

だから呼べないのフロイライン、
ぼくをゆるしてマドモアゼル。

1+

No.501

誰の思い出にも残りたくなくて
なってはいけない人を好きになる
仕掛けはいつも小手先で
張り巡らせた罠で動けないのは僕だった

謙遜しなければ水中を泳ぐみたいに
縦横無尽に生きられたのでは
呼吸ひとつ満足にできない朝
背中から根が生えて起き上がれない

次に耳が聴こえなくなった
正直言うと好都合だと思った
もうイヤフォンで塞がなくてもいい
朝も夜もやかまし過ぎたんだ

次の日からひとつずつ消えてった
眼球だけが潤いを保ったまま
部屋の真ん中にぽつねんと残った
そして最後はハニーの餌食になった

平等とは不平等なもの
公平とは不公平なもの
自由とは束縛の異名で
無限とはこの部屋にあるもの

夢を見ていて
忘れないうちにと書き留める
ようやく書き上げた時には
好きな人の名前が思い出せない

みんなひとりでに生きて死ぬんだ
今はひとつひとつで夕焼けを見ている
優しくしたくなるような背中で
つぶしてしまいたくなるような魂で

1+

No.500

手のひらに残る七色の粒子
出会ったきみはひとでなし
夢が青春をくいものにする
確かめているうちに破れる

笑って別れるなんてできない
きみはいつでも無防備だから
それは自信からくる余裕なの
ぼくは少しずつ泳ぎつかれた

幸せであってほしい
全部でそう思えない
ぼくも幸せになってみたい
ふたつが相容れないせいだ

優しくなりたかった
いつでも帰ってこれるよう
迷子にも見つけ出せるよう
でも道は覚えるものだった

大人になってふと悲しいのは
いつのまにか歩けていたこと
平気なほうを選んでいたこと
争ったり怪我しないほうを

たまにはそっぽを向いていい
未来はそれでも壊れない
生まれたばかりの入道雲が
冒険をやめるなとぼくに言う

行き詰まるからだ
安全なほうを選ぶようになれば
留まるほうがあやういから
傷つけまいと傲慢がはびこる

ソーダ水にふたりが溶ける
それは並ぶよりも尊いこと
誰が飲み干しても文句言わない
辿り着いた場所が帰りたい場所

1+

No.499

どうしてあの街
思い出させるんだ
比べることに意味はない
教えてくれたのはあなただろう

瓶詰めの初恋
少しずつ腐り出す
誰も気づいていない
だけどたしかだ

潔白でいてほしい
ぼくのわがままであっても
何も助けられなくても
どうか、変わってほしい

ぼくに出会う前とさよならの後で
あなたの何かが変わってほしい
世界が違って見えてほしい
許されなくても、願うんだけど。

2+

【雑記】伝われ伝われ

伝われ伝われってタイプは、詩や小説にならないと思うなあ。なんだろ、音楽とかイラスト?文字書きは卑屈なとこある。さも一般論みたいに言ったけど自分がそう思ってた時期があってだな。イラストいいなあ、歌いいなあって。けど自分はそっちじゃないこと分かってて、まあだからMMDとか動画作成って文字書きに与えられた表現のチャンスなんですけどね別の話で。

でも。文字は武器だなあって心から思うことがあって、まあかと言って何かインパクトでかい出来事があったわけじゃないんだけど、じわじわと武器だなっていう。それは、書かなくてもいいってところなんですね。いや、むしろ書かないところにこそってやつで。たとえばすっごい美少女を登場させたい時にさ。美少年でも良いんだけど。

はい、ここ。

いま「すっごい美少女」「美少年」って言った時、どんなイメージ思い浮かべました?

ってことなんですよね。

絵で表現しようと思ったら、描かなきゃいけないでしょう。髪の色、瞳の色、輪郭。人によっては「あんまり美少女じゃない」「おれの知ってる◯◯のほうが美少女」ってなるわけでしょう。ならん場合は合致したんですね。

文字は単体では完成しなくて(厳密に言えば作家の中ではちゃんと完成してる)、読んでくれた人の頭の中にある最高のものと合致することがあるんですな。

だからほんとは「◯◯な瞳」「◯◯色の髪」とか書かないほうがいいのかもしれんが、それやるとぼんやりなって「どないやねん」ってなるからそこまで引きすぎると手抜きになるっちゅうわけですな。

萌えやフェチポイントは出していったほうがいいのかもしれない。だって、もしそれが相手の心に届けば「ですよねー!」ってなってまたべつの力になるから。やっぱ一番いいのは自分が好きで楽しんでそれをやることだな。だって見てるの自分だもん。感じるのも自分だもん。
みんな「いいね」コレクタだけど、それって絶対行き詰まるよ。だって最初に見てるのは自分だもん。それを「いいね」してくれた人が「あなたの作品すきです」つってくれても、自分はその人の「このひとのここがすき、こういう部分あいしてる!」って感情を共有できることはないでしょ。「ああ、すいてもらってんなあ」で終わりで、真に満足できないでしょ。
だから、自分と他人をはかりにかけなきゃならないときは、自分を重視したほうがいい。よほどいい。そうしたほうがずっと精神が健康だ。言いたいやつには言わせておけ。そして心の中でこう思うんだ、てめーの人生生きてろよ。

これ前提で好きなこと好き放題やって、それでも「すきです」って言ってもらえたら、あーた、これ最高じゃん?最の高でしょ。

他者優先オーディエンス優先の危険性ってここにあると思ってて、自分の本当にやりたいことや好きなことを好きだと言ってくれる他人の存在を見落とす可能性があるってことなんすよ。そして上滑りでやがて人が離れたときに「俺の人生おつ」ってなって自殺すんでしょ(極論)。

よくわからないけども。やめないからな。

結論:生きろ。

3+

No.498

いまね、近づいた気がした。あなた否定するけどね。いや、気づいてないんだ。ぼくたちのあいだにゃ硝子があって、今も昔も遮られてる。どうせなら色付き硝子がよかったね。磨り硝子でもましだったろうな。そんなに透明な涙を知らない。勘違いしないで、ぼくたち、たとえこの硝子がなくたって別々の生き物なんだからね。溶け合うことや混じり合うことはできないんだからね。そう思うと、まだ少し呼吸できそう。一度に。べつの生き物になってしまうの、無理かなあ?きっと無理だなあ。何世代も何世代もかけて進化していくんだから。どうしても、無理かなあ。うん、どうしても、無理だよ。明白に無理だよ。それに、ぼく、嫌いじゃないよ。この、どうしようもなさ。みんながなに言ってもね。ぼくたちが失敗なわけないじゃない。ぼくたちを生んだ存在が失敗するわけないんだから。平気だと思ったんだよ。そのひと、きっとこれが一番だと思ったんだよ。あなたの目の色がわかる。歌は届かなくても、あなたが撫でる軌跡で文字が読める。ぼくらそうして溶け合ってこうね。笑われながら、呆れられながら、飽きるほど重ねようね。硝子があってよかったっていつか言おうね。生まれ変わる必要ありませんって伝えられるよう、不具合だらけの今を大切に生き抜こうね。

1+