きれいなものは
ぜんぶ
ぜんぶ、あなたにあげる
よごれていないところは
あかるいところは
つぎがあるところは
それをつかったあなたが
もしもぼくいがいを
だいじにするのだとしても
おとぎばなしにならなくても
どこにものこらなくても
あなたがぼくをわすれても
あしたもきっとのぼるたいよう
ねこのようにきまぐれでいいのに
りちぎなやつ、ほんとうにあきれる
きれいなものは
ぜんぶ
ぜんぶ、あなたにあげる
よごれていないところは
あかるいところは
つぎがあるところは
それをつかったあなたが
もしもぼくいがいを
だいじにするのだとしても
おとぎばなしにならなくても
どこにものこらなくても
あなたがぼくをわすれても
あしたもきっとのぼるたいよう
ねこのようにきまぐれでいいのに
りちぎなやつ、ほんとうにあきれる
新しい脱出ゲーム/きみを傷つけなくても生きていけるくらい強くなりたい/傷つくきみを見たくないから殺してしまいたい
濡れた線路の上を電車が走っていく
たくさんのものが共存していながらいずれ収まるべきところに収まっていく様子をもう見たくない/そのたびに僕は敏感になって魂は炎症を起こしていた/平気な顔も強気なふりも無理矢理だって分かってる
覗き込まれた液晶画面に何もないことを知られたくなくて隠し続ける
真珠のような声が叫ぶほどの強さではなく骨を静かに圧迫している/流れてもいない血を見せびらかすことはできない/だから黙って睨んでいた/虫が悶える大地の一角を
それがすべてだと主張する相手もいまだ見つけられずに
きっと世間は冷たいだろう
君はこれからいくつも嫌な思いをして
人間不信にさえ陥るだろう
誰かを殺したいほど憎んだり
死んでしまいたいほどさみしかったり
自棄になって物を壊したり何かを奪ったり
それでも生きていかねばならなくて
激しい絶望そして憤りを覚えるだろう
神さまのいない国で生まれ育ったから
祟りを恐れず暴れるし
禁忌の意味はいくつになっても分からない
覚えておいてほしいのは
何も君を守り幸せにするために存在しないこと
ひとりで歩いて行かなきゃならないこと
そんなことないさと誰かが囁くだろう
だけど、ほんとうに?と疑うことを忘れないで
子ヤギを食べたいオオカミは何をした?
そう、優しい声で近づいたんだ
大切な何かを隠すとき他人は優しくなるよ
君は誰にも見守られていないし
その行いが誰かを苦しめはしないし
愛することをやめたからって困らないし
また新しい愛を見つけるだけだし
死亡記事だって誰かを輝かせるよ
たとえば、と話し出すこと
もしかしたら、から始めること
耳をふさぐことで命は始まりの音を聞く
君は君の良心からだって自由だ
居心地が悪いならいつだってその船を覆せるんだ
インスタのために猫を飼った
そいつは自分が高貴な家柄の出でもあるように
おれを見下してくる
だから仕方なしに付き合う
素材のための命とそれにふりまわされる命は互角
今朝のフルーツグラノーラは妙に濃い味がする
昔の恋人が薬品を混ぜていったかと思った
誤解であっても二度と会うことはないのだから構わない
解かれない謎は見つけられていない謎に等しい
だからそのまま放置されて百年後に開封されたりする
猫はひなたぼっこもせず西向きの窓辺から民衆を見ている
百年前そこは本当におまえの領土だったかもしれない
おれはおまえの臣下だったかもしれない
新しい妄想は桃色の毛皮より楽しいから出歩く必要はない
また古くなるまでは一緒にいような
まるで生まれ変わることがあるみたいに来世を約束しような
戯言をぬかすなとでも言うようにしっぽが頬を往復でビンタする
テーブルの上の皿が割れて千年の呪いが秋の空にとけていった
かわいそうって思っていたおとなたちも単に夢を見ていてこどもたちの攻撃なんてちっとも効いちゃいなかった。口を開くためにはくわえたカミソリを落とせばいいだけだって気づくひとは案外と少ない。あたらしい国は青くて何も疑わなければそれなりに平和だった。かがやきを集めれば有名にだってなれたし誰かを幸せにする方法は惜しげもなく共有されそこらじゅうに散らばっていた。どういうことかっていうとたぶん誰も幸せになりたくなかったんだ。いちばん分かりやすい自己紹介は抱えている絶望だからそれを手軽に名刺のように差し出したかったんだ。攻撃しないでください。敵ではありません。あなたはわたしをそっとしておいてください。どうぞお気になさらず。ひとりになりたくてほどほどの壁を立てるんだけどその模様にひかれた他人が勘違いして寄ってきて話しかけたりするから不機嫌な茶会なんかひらかなくてはいけなかった。童話の世界にあこがれるのはそこに終わりがないからで結末をつけられることが面倒だというのもあった。それっきりになれば良いのにずるずる続くし評価を受ける。気にしないくらいなら始めから繋がらなければいいのにって思うしわがままだって言われても綺麗だと感じるものをだけ取り込んで生きていきたかった。そんな無菌室みたいな空間がお望みなら死ぬしかないよって笑う君がまぶしくて本当にそうだよねって頷いてこの冬を一緒に暮らすことができればどんなにか再生可能な記憶になるんだろう。そう言うと気色悪いって言うから本当にそうだよねって頷く。ほんとそうだよ、分かってる。
僕はこの国が気持ち悪い。
被害者になって賠償金で暮らしたいと思うとともに、加害者になって生い立ちに同情されたいとも思う。
臓器より美しい信念なんかどこにもないからミツバチの羽音がずっと僕を守ってくれたら良いのに誰かの口から流れ出た汚水が跳ねる。
心の伴わない笑顔でも好きだって言ってしまう奴がいて僕は国民的な人気者。
視線の代わりに爆弾を投げたい。
史上に残りたいわけではなくて密かに消えたい。
まるで生まれなかったみたいに。
まるで誰からも愛されなかったみたいに。
17枚目のアルバムのジャケットはそんな表情で写ったのにとあるインフルエンサーが「媚びないシニカル」って言ったからみんな何も気づかないんだ。
現象を逆手に取る遊び心はなくて見慣れたマネージャーの背中を蹴っているだけ。
鏡に映った僕はそれでも柔らかく微笑んでいた。
ねえ、何から食べる?
出会わないことが当たり前
運命なんて忘れるほうが珍しい
君とはそんな遊びをよくした
緑にも色々あって百はくだらない
世界は意地悪だけれど
切り離されて生きていけない
僕にもちょっとの罪はある
だから大罪をシェアしあって生きる
タグもランキングも入れ替え可能で
明日にはもう読み替えられることがあるんだ
絶対って言葉の意味が変化したら
絶対なんて絶対にありえないってくらい
(わかんだろう?)
何も僕の気を引かない時
書棚のあいだを歩き回っても響いてこないとき
そのために作った闇の空間で迷子になってみる
この状況は案外と気が楽だと気付いている
牛乳パックにプリントされたキリスト
花は今日もどこかで咲いている
飛行船は落下し
それでも乗客は歌ってる、これが君の言った平和
どこまで届くだろう
そんなこと考えずにボールを投げる
白い魂は吸い込まれるように高く上り
何か見つけた地点に無事落下する
虹のような偶発性はない
だけどほんとうは全部決まってるんだよね
赤いハンカチの縫い目に大人たちをみていた
まだまだ子どもの僕たちは
聞いたことがないのに汽笛だとわかる
誰かを置いていく人
誰かを見送る人
始まりと終わりはいつだって切ない
頬の下に木目がある
その匂いを体いっぱい吸い込む
満たされるのはせいぜい肺くらいだとしても
生まれ変わらなくていいように今呼吸をする
テーブルマナーは上等
ほかの命を食べ残し
明日出かける海岸について
うわさ話を楽しんでいる
箱詰めされた子供たち
知らないということ
ここではもっとも尊くて
人々はたまに遠くを見た
捨ててきた故郷
残してきたクラスメイト
抗菌の徹底した空間で
孤独なウイルスに恋しながら
漂着だけが頼りです
名前も性別も知らないけれど
留まることはできません
これはいったい誰への言い訳
雑音が重なり過ぎて透明になる
風景に溶ける
違和感をたたえたままで
昔からそこにいたように実在する
指の間から落下する煙草
やっと辿り着いた答えが紫煙に消える
くぐってもくぐってもたどり着かない
あの波のむこうはもうこの世ではない
回顧雑記。
私の記憶がスタートしたころに住んでいた島です。
何気なく検索かけたら可愛いサイトが存在してておどろいた。
「遠くの島、徳之島。」
プロの仕事だろうな。
とおくのしま、と、とくのしま、か。
うまいなー。
やることと言ったら闘牛見に行くくらいでした。
ここに暮らしていた間の出来事で、ハサミムシが天井びっしり大量発生した日のことは忘れない。
十匹や百匹ってレベルじゃないんだ。もう、天井の白い壁紙が埋め尽くされるくらいびっしり。
あれ、なんだったんだろうな!?
南の島ってGも逞しいしデカいしその点ほんともう嫌だって思う…。全然免疫ついてない。
ハサミムシの件は今でも「あれは幼い頃に見た悪夢だったのかな?」って思うけど家族が同じ記憶を持っているので現実だったと認定せざるを得ない。
ただ、海はきれいだった。
色鮮やかな魚を追いかけたり、タカラガイをほじくって集めたり、波にもぐったり、潮の満ち引きってふしぎだなーって思ったり、漂流物を眺めたり、砂浜をどこまでも貝殻拾って歩いたり、あと海で磨かれたガラス、とか、灯台まで歩いて帰りで海中に落下して溺死しかけたり(実話)、ほんとうにいろんな思い出がある。なんで海からあがると小さな傷があちこちにできてるんだろう、とか。首の後ろばっか焼けるとか。
帰り道にはハイビスカスが咲いていて、その蜜は甘くて、野良犬がよく歩いてて、町のどこにいたって潮の匂いがして、いろんなことがあったなー。
回顧おわり。
私が詩の中で「海」を出す時は、ほとんどここの海や水中での感覚、そこで見たものだとか浮遊感などがベースになっていて原点み。