no.2

毛皮の魔法使いは言ったんだ
ほんとうの魔法はおまえが使っていると

森の王子様
眠る王子様
百年も夢を見ている
お姫様を助け出す夢を

いばらに覆われた高い壁
いつまでも眠るからいつまでも死ねない王子様

魔法に魔法をかけて
いつまでも閉じ込めておけたらなあ

鏡をのぞいたらわかってしまう
むこうに立っているのは
あなたが願ったぼくという魔法使い

おやすみ王子様
おやすみ森
おやすみ魔法
おやすみ月と太陽

おやすみおやすみ、
みんなおやすみあともう百年

0

no.1

好きになろう好きになろうと努力して
ますます僕を嫌いなきみを好き

いじらしくて拙い
状況としてかなりまずいよ
それは

どんなに庇って歩いても
靴は雨に濡らされる
濡らされまい濡らされまいとするから

僕が雨だ
きみは勝てない

雲の上で星座から放たれた光がわだかまる
届く場所へ届かないで
欲しいとも欲しくないとも感じさせないで

1+