no.310

新しい脱出ゲーム/きみを傷つけなくても生きていけるくらい強くなりたい/傷つくきみを見たくないから殺してしまいたい

濡れた線路の上を電車が走っていく

たくさんのものが共存していながらいずれ収まるべきところに収まっていく様子をもう見たくない/そのたびに僕は敏感になって魂は炎症を起こしていた/平気な顔も強気なふりも無理矢理だって分かってる

覗き込まれた液晶画面に何もないことを知られたくなくて隠し続ける

真珠のような声が叫ぶほどの強さではなく骨を静かに圧迫している/流れてもいない血を見せびらかすことはできない/だから黙って睨んでいた/虫が悶える大地の一角を

それがすべてだと主張する相手もいまだ見つけられずに