No.681

停止に飽きたし歩いてみるか
そう思って触れてみる
なまぬるい縫合跡
深さは誰のせいだったか

責められても言い訳をしない人
ほんとうの正体はわからないままだ
もしかするとカーテンの影かも
この世に生きていないかも

終わりを見守る静かな夕暮れ
夕暮れという言葉を知らなかったころ
ぼくらはもっとぐっすり眠れた
羊の数をかぞえたりしなくても

明日になったらまた陽が昇るの
約束がおとなを不幸せにするの
つないだ小指が離れそうだから
今度は手と手をつないで光を

あなたのように生まれたかった
いつも素直になれなかった
祈りが後悔になってしまうから
祝福が花束を枯らしてしまうから

寄り添いたい
ぼくの足跡がサインを消さないのなら
自分のためだけに囁きたい
フィルターが泣き声をすくうなら

空を切り裂くパイロット
青の向こうに未熟な生き物
欲しがらなければ良かった
ぼくが望んだきみのいる景色がゼリーに沈む