【ネタ】絶世美人部下→ブサ専上司

美人といえば、こないだバスの中から、バス停でバス待ってる天使みたいな男性を見かけて三度見くらいしたんだけど美人突破して第一印象が「うわあ…かわいそう」だったから自分でも直後に「ん?」となったね。これまで美人みかけたときは大抵「いいなー」て感想だったのにそれが初めて「かわいそう」だからね。まず、その美男はハーフであった。これは間違いない。スーツにコート。そんで顔がめちゃくちゃ小さい。ポリンキーくらい。ブロンドゆるウェーブ(おそらく地毛ウェーブ)の前髪が、ピカピカ真っ白の額にかかってて、大人なのに少年みたいな、なんて言ったらいいのかなー、なんかもう二次元だった。そして私は思った。「うわあ…この世界で生きづらそうでかわいそう」。ちやほやされまくってベタベタされまくって天使扱いされて、だけどみんなほんとうはそれぞれ本当に大切なひとがいて、モテるでしょ?って言われ続けながら、付き合ったひとと半年もったことありません。みたいな顔してた。それは薄暗い中で佇んでいた姿を見たからかもしれなくて明るい場所で見たらどうしようもなくいけすかない野郎に過ぎなかったかもしれないけどその瞬間は間違いなく不憫でしかなくて、ブサ専の上司に片思いしてたら切ない設定おーらい?おーるあああい!となって私の頭のほうが先に二次元へ行った。いや、この上司は自分のことブサ専とは思ってないよ?ただ周りから見たら「部長の好みのタイプって…ぷぷ」ってちょっと笑いのネタになってる、みたいな。微妙なとこついてくるなあ、みたいなのがツボにはまるっぽい上司。部下からの信頼厚いです。できる男です。男らしいです。シャツの袖は腕まくりしてて、むしゃくしゃすると髪の毛ガガガ!ってかいちゃって、そんなところが女性社員に人気です。きゃいのきゃいの言われてる。本人無自覚。「おまえら架空の恋愛トークばっかしてねえでさっさと仕事終わらせて彼氏つくってこいよー」みたいな。セクハラぎりぎりだけど、許される人気。
で、同じ部署にいるのが例の、バス停の美男ね。
「クリス、クリス」
「栗栖です」
「なんだよ、音は同じだろ」
「今クリスって言ったでしょ。外人扱いしないでください」
「外人じゃねえか」
「ハーフです。見た目が外人ってだけで英語しゃべれませんから。何か用ですか?」
「ひっでえ言い草だな。俺はお前の?」
「上司です」
「わかってんならいいけどよ」
「A社の接待の件ですか?」
「お、さすがクリス。察しがいいねえ」
「栗栖です」
「先方からクリス同行しろって言われててよ」
「…」
「すげえ美人だからまた会いたいって。かなり気に入られてたよ、お前」
「…それ、もちろん仕事の話ですよね」
「おう。当たり前…おや、なんだあ?また臍曲げたか?…お前、おかしなやつだよなあ。美形って言われると機嫌悪くなるとか。いいじゃねえの、せっかく印象に残りやすい外見してんだから、武器にしとけば」
「…」
「クリス」
「…栗栖です」
「ま、安心しろ。俺はお前に惚れたりしねえからよ」
「…は?」
「俺はどっちかっつーと、もうちょい鼻が低くて、目が、ちまっとしてて、全体的にこう、ぽちゃん、としてるのが好みだからな」
「…語彙力」
「チワワよりパグ」
「…あなたの好みなんかどうだっていいです。ていうか、パグに迷惑ですよ」
「ははっ。だよなー。ま、とにかくそういうことだから。新規開拓、期待していますよ、栗栖くん。お店は別のに予約させといたから。もちろん俺も同行する」
「…はい」(地獄だ)

みたいな。日に日に憂いを帯びる栗栖。そんな栗栖の様子に胸をときめかせる女性社員。ときどき男性社員。そんなある日、酔っ払った部長を介抱するハメになった栗栖は、酔い過ぎて視界がぼやけた部長から、部長好みのブスに見間違えられて…?!俺は、視界が不鮮明なときだけ出会える恋人でしかないのか?☆新感覚☆視力とともに急降下するオフィス・ラブ・ストーリー!地上に舞い降りたスーツの天使・栗栖染太郎は、ブサ専上司を売れ残ったパグの如く完膚なきまでに堕とせるのか?!絶望の日々に終止符を打つべく
神の与えたもうた美貌をかなぐり捨てる決意をしたとき、待望のミラクルタイフーン上陸?五線譜に踊るヘクトパスカルのゆくえは、巻末袋とじをチェックメイト☆オレ!

ちなみに栗栖はその日の休憩時間、スマホでパグの写真あさりまくって、待受にした。この顔になれ、俺の顔この顔になれ、と念じるための待受。あるいは、悪戯っ子な部長にスマホ覗かれたとき「あっ、なんだお前パグ好きなの?俺も俺も!」から始まる会話に繋げるための。念には念を入れる、栗栖なのでした。「今日のわんこ」風に締めくくって、寝よう。

Scroll to top